BTS『伝えられなかった真実』で描かれている葛藤と悲しみ

K-POP
スポンサーリンク

英題だと The Truth Untold(直訳:語られなかった真実)ですが、歌詞の内容を読んだ後だと、日本語に訳すのは結構難しいです。訳さないほうがいいのかも…なんて思うことも。

ただ、涙なくして聴くことのできない名曲なのは確かです。😭

以前の記事で、RMがこの曲について「ボーカルメンバーたちの感情表現能力が、ある種の頂点に達したような感じがしました」と語っていたことを書きましたが、まさにそうですね。

 

最近、この曲をプロデュースしたSteve Aokiがリミックスを披露して話題になりましたね。

スポンサーリンク

歌詞の世界

主人公を男性、もうひとりを女性と仮定して考察します。
ただし、世界観を見て分かる通り、恋愛に限られた話ではないので、人と人の間にある、悲しい愛の話の一つとして捉えるのが正しいと思います。

内容について、個人の解釈であることをご了承ください。
できることなら、曲を聴きながら、読んでください。

 

孤独が咲いているこの庭園
棘だらけ
僕はこの砂の城に自分を閉じ込めている

彼の歩む人生は困難ばかりで、孤独です。
愛を信じようとすることもありましたが、それは時として棘となり、彼を傷つけました。
悲しみがこれ以上生まれぬよう、彼は心を閉ざしてしまうのです。

 

君の名前は?
僕の居場所なんてあるのかな
教えてよ
この庭園で 君が隠れているのを見つけたんだ

彼は心を閉ざしたはずでしたが、自分の領域の中にいる人の存在に気づきます。
彼は、彼女が心をノックしてきているのか、自分が気にしているのかは分かりません。
彼はまだどこかで、誰かが自分を救えるかもしれないと思っているのかもしれません。

分かってる
君のぬくもりは何もかも本物なんだって
青い花を摘むその手
つかみたい

青い花
欲望、愛、形而上学的な挑戦としての無限、到達不能を表す。
人間性と自然、魂のつながりを象徴し、自然の理解、自己の理解が育まれる。
参考:en.wikipedia.org (抜粋・意訳)

青い花を摘む手を握る ということは、
その人を介して、自己をもう一度見つめなおすきっかけになるかもしれない、そうであって欲しいという希望的観測を言っているように思います。
彼はまだ、人との繋がりや自己愛というものを完全に諦めた訳ではない。

 

僕の運命なのさ
笑顔を見せないで
光をあててよ / 光を当てないでよ
君のところへ行くことができないから
僕には君が呼ぶ名前がないんだ

Light on me の解釈で少し悩みました。
文頭が大文字になっていること、接続詞がないこと、light on me の前にも語呂的にDon’t を入れる事は可能だがしていないことから、Don’t smile me の Don’t は次の Light on me には掛かっていない可能性があります。

つまり、「笑いかけないでくれ、光を当てるのもやめてくれ」ではなく、
「笑いかけないでくれ、光を当ててくれ」という意味が正しい可能性があります。

 Light on me の場合

笑顔だけでは、まだ信用できない。僕は動じない。君が何者なのか判断できない。
本当に僕と向き合ってくれるなら、僕を、この庭園を、この砂漠を照らしてみて欲しい。

(Don’t) light on me の場合

相手が能動的に「僕」に対して笑顔などで誘ってくること、つまり(砂の城を抜け出すための)希望を持たせるのは止めてくれ、と拒みます。

相手を信用していますが、一方で、自分自身を信じてあげられない一面がまだあるのです。

[adchord]

無理なんだと 君も分かっているだろう
君に見せることも
与えてやることも
冴えない姿なんか見せられやしない
また 仮面をつけて君に会いに行くのさ

でもまだ君を欲しているのか 僕は

ありのままを見せるなど到底できないと、拒絶の思いがまだあります。
自分を守るため。傷つくのを恐れています。
それでも彼は、彼女に光を見出している。

 

孤独が咲き乱れるこの庭園
君に似ている花
あげたかった
この ばかげたマスクを外して

彼女にさえも自身を閉ざしておくべきか、恐れずにマスクを外してさらけ出していくべきか、葛藤が生まれています。

でも僕は気づいてる
永遠ではないことを
隠れなければ
僕は醜いのだから

おそらく、ここで言われている「マスク」は比喩的な表現で、
「醜い」という思いについても物理的な人の見た目のことではなく、心をさらけ出すことの恐れから自己を卑下しているような印象です。
「永遠ではない」と、彼の中にある一種の悟りが彼を引き止めています。

 

僕は恐れてる
みすぼらしいな
怖いよ
君も僕を置いてどこかに行ってしまうんじゃないか?
また 仮面をつけて君に会いに行く

先ほどの「醜さ」とは意味が違うのかもしれません。
マスクを外すことができず、一歩踏み出せない自分のことを醜い人間なのだと、思い込んでしまっているようです。
しかし、これまでの悲しみが顕(あらわ)になりました。
自分のことばで、自分の恐怖を語り始めることができています。自分の思いを語るということは、相手に近づいていく第一歩になります。

彼女が彼をどのように受け取るか、どんな「真実」を知ることになるのか、そして、受け入れてもらうことができるのか。

 

この庭園で この世界で 僕にできることは
君に似た綺麗な花を咲かせ
君が知っている僕として 生きること

でもまだ君を欲しているのか 僕は

彼は、彼女のもとへ行くことを恐れています。
マスクを外すことを恐れています。

 

もしその時
ほんの少しだけ
これくらいだけ
勇気を出して君の前に立てたなら

いま、全てが違っていたのだろうか

 

 

僕は泣いている
消え去って
崩れ去って
ひとり残された この砂の城で

壊れたマスクをながめてる

でもまだ君を欲しているのか 僕は

壊れたマスク… つまり、彼は一度マスクを外したのでしょう。しかし、遅かった。
彼女にマスクの下の自分を見せる事ができず、結局また一人になってしまいました。
後悔しているのかもしれません。同じことの繰り返しなのか、と。醜い自分のままでしかいられないのか、と。

しかし、それでも彼は 愛のぬくもりを捨てきれていません。

K-POP
スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする
こけしまをフォローする
スポンサーリンク
KOKELOG.

コメント